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第116回パテント研究会のご報告
              事務局担当弁理士 長谷久生

 去る平成22年3月18日(木)PM1:30〜4:00、『第116回パテント研究会』が特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 6F セミナールームにて開催されました。

 今回は、ゴルフクラブヘッドに関する裁判例を取り上げ、裁判所での文言侵害及び均等侵害についての判断を踏まえた上で、明細書が侵害事件の場でどのように解釈されるかについて、更にはそこから明細書の記載はいかにあるべきかについての解説がなされました。講師は、弊所会長 弁理士 廣江武典 が勤めさせて頂きました。

 以下に当日の講演のポイント及び参加者と講師による議論について簡単に記載させていただきます。

 今回の講演のポイントは、明細書中の「縫合材」の解釈にありました。「縫合」という文言の解釈に関し、原告と被告とで言葉通りに解釈すべきか否かが争われ、東京地裁は言葉通りに解釈して文言侵害にはあたらないと判断しました。知財高裁は「縫合」の意味は多義的であり通常の語義のみに従ってその内容を限定する合理性はないとしながらも、「縫合材」を「金属製外殻部材の複数の貫通穴を通し、かつ、少なくとも2ヶ所で外部部材と接合する部材」であると置き換えた上で、文言侵害にはあたらないとしました。詳細については当日の配布資料を参照願います。

 もうひとつのポイントは均等侵害について東京地裁と知財高裁との間で異なる判断がなされたことでした。東京地裁は「縫合材」を本質的部分であると認定したのに対し、知財高裁では本質的部分ではないと認定しました。均等侵害についての知財高裁の判断は、「縫合材」を「金属製外殻部材の複数の貫通穴を通し、かつ、少なくとも2ヶ所で外部部材と接合する部材」であるとして一旦置き換えた上で、本件発明の課題解決のための手段を基礎づける技術的思想の中核的、特徴的部分ではないと認定して本質的部分ではないとしました。かかる論理構成については問題点が多いと講師は批判的な評価をしています。これについても当日の配布資料を参照下さい。

 後半は講師を中心に参加者との活発な議論がなされました。その議論の一部を紹介すると、
・「縫合材」との文言を「接合材」としていたらどんな判決だったのか?
・数値限定クレームの場合の均等侵害の判断は?
・今回の判決を考慮して、他社の特許を均等範囲を含めて回避するためにはどうしたらよいか? 等々...

参加者様からの声
「身近な話題であった為に理解できたが、より専門知識が必要だと感じる良い機会でした。」
「知財高裁の問題点にも言及され参考になりました。」
「最新の判例に触れ大変勉強になりました。」
「技術内容の説明が非常にわかりやすく、判例のポイント・問題点がとても勉強になりました。」

 次回は、今回の参加者様から希望の多かった進歩性に関する判例を解説することになっております。開催予定は8月27日(金)で講演者は長谷弁理士を予定しております。
 さらに12月にはシフト補正の運用に関するテーマでの開催を予定しております。
 出来るだけ企業の知財担当の方にとって興味のあるテーマを選定し、解説・議論する方針にて開催することを心がけております。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

※当日の配布資料は、こちらからダウンロードできます。


2010/3/25更新
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